図書館報「読書の森」100号記念に寄せて
お久しぶりです。
コロナが1年続いてしまいました。
外での活動が好きな私ですが、
家にいる時間が確保できたので
「中田敦彦のYouTube大学」で絶賛の
D・カーネギーの「人を動かす」を読んでみました。
人を動かす秘訣は何だと思いますか。
この世の中に秘訣はただ一つしかないのです。
この事実に気づいている人は、少ないように思われます。
実は自ら動きたくなる気持ちを起こさせることが秘訣なのです。
この続きを知りたい方は、
この本を読むか
私に会ったときに質問してください。
それではここで、
図書館報「読書の森」100号記念に
「私の読書」の題名で寄稿しましたので、
目を通していただければ幸いです。
『私の読書』
読書はその人の環境によって種類が変わってくる。
校長になってからは、実用書(情報を得るための参考書)を読むことが多くなり、これは読書とは言えないだろう。読書はもう一つの人生を経験できることが素晴らしい。最良の本は読んでいる最中に絶えず問いかけてくれる本である。そこで問答が始まり、問答が発展していくことが読書の楽しさである。
最近気がついたのだが、私の人生に何冊かの本が大きく影響を与えていたのである。教員を志望するきっかけとなった夏目漱石の「坊ちゃん」、校長を引き受けた決断は吉川栄治の「三国志」の一節からである。どちらも学生時代に読んだ本の影響だから不思議だ。人生の岐路に、昔読んだ本が知らぬ間に影響を与えていたのだ。面白くて魅力的な本は知らず知らずのうちに人生の羅針盤として心の中に残っていくのである。
読書に集中した中学・高校・大学時代を振り返ってみる。父親が新聞社に勤めていたこともあり、親からは「本をたくさん読んで、自分で物事を考えろ」と言われて育った。ゲームは買ってくれないが、本だけではいくらでも買っていい家庭だった。船橋駅の近くの「ときわ書房」とシャポー「弘栄堂」には学校帰りに毎日通った。スマホなどない時代なので電車に乗れば、すぐに本を開いていた。1週間で2・3冊は読んでいたが、中間考査中に五木寛之全8巻と出会ってしまい、勉強時間との葛藤で、1日1巻だけで我慢したことを強烈に覚えている。集中して読みきりたいときは山手線を2周することもあった。読書に夢中になり過ぎて、財布が入ったバッグを盗まれ、手元には赤川次郎の文庫本1冊だけということもあった。恥ずかしながら、雨の日は大学をさぼって「晴耕雨読」と称し、読書に逃げたこともあった。
これからの私の年齢で満足の得られる一番の趣味といったら読書をおいて、そうたくさんはないだろう。今は、毎日の仕事に追われてゆとりがないけれど、校長を終えて学生時代のむさぼるような読書に戻る日を楽しみにしている。